痔闘病記 関東編

3-2 ついにあこがれの肛門科インタビュー(診療事情、肛門科の歴史)

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◎前回までのあらすじ
千葉の柏の名医、辻仲病院柏の葉の赤木一成先生に次々と鋭い質問をぶつける俺。話は、肛門科の選び方や、診療の違い、グローバルと日本の違い、にも及んだ。そして、話は新たな展開をみせる。
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2) 肛門科の診療事情

俺「では二つ目のトピックに移らせていただきます。私は、肛門科を選ぶときに、ネットの情報を頼りにしていたのですが、私がもう一度痔になったら考慮したほうがいい、病院の選び方はあるのでしょうか?」

赤木先生「大腸肛門病学会の専門医であるか、がまずは指標になります。大腸肛門病学会の専門医には、I、IIa、IIbという三つのコースがあり、肛門外科の領域であるIIbのコースを出ている先生、をまず探すのがいいと思います。」

俺「総合病院などでも施術を受けることができるのですが何か違いはあるのですか?」

赤木先生「肛門科も一人前になるには、相当な修行が必要なんです。外科の一分野として肛門の診療を行うことはできますが、大腸肛門の専門病院での修行は是非見て欲しいですね。」

俺「全く知りませんでした。ちなみに、個人的な興味ですが、なぜ赤木先生は肛門科の先生になられたのでしょうか?」

赤木先生「詳しいことはブログに書いてあるのですが、全国的に有名な大腸肛門科専門病院の辻仲病院で大腸内視鏡検査を見たことがきっかけです。 それまで所属していた大学や関連病院での大腸内視鏡検査との違い、患者への負担が小さいものでした。そのあと辻仲病院での二年間の勤務を経て、大腸肛門科を専門とすることに決めたのです。」

3) 肛門科の歴史とグローバル事情

俺「最後に、肛門科の歴史とグローバル事情です。昔は肛門はどのように治療していたのでしょうか?」

赤木先生「昔は、枯葉を焼いて肛門の患部に塗る、というような治療もあったんですよ。アルカリ性になって悪い部分を溶かすんですね。 現在の技術は大変発達していますが、肛門は複雑なので、十分な修行を積んだ専門の医師に任せるのが安心です。」

俺「保険がきくこともあれば、自由診療を行っている病院もあると認識しています。なぜ保険がきくところときかないところがあるのですか?」

赤木先生「大半の肛門科では最近は保険診療を行っていますよ。費用も、同じ医療行為だったらどこでも基本的には同じです。 その一方、自分の技術に見合う報酬を設定されていないから、自由診療にふみきる方もいますね。」

俺「グローバルを飛び回る元ブランドマネージャーを自認しているのですが、グローバルでも同じように治療するのでしょうか?」

赤木先生「アメリカなどでは、入院することなく医院内で診療するOffice Surgery(オフィスサージェリー)も多いですね。」

俺「ありがとうございます。」

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赤木先生との濃密な一時間は、あっという間だった。

当然ながら、アナルブロガーである自分と、大腸肛門科の専門医である赤木先生の径庭を感じつつ、少しでも正しい肛門の知識を届けることで、世の中の人々が少しでも肛門科に対するハードルを下げることで、赤木先生のような素晴らしい先生と出会うことができることに貢献できたら、と思う。

外に目を向けると、夕日が柏の葉の大地を照らしており、インタビューをしている部屋も少しひんやりとしていた。

感謝の言葉を伝え部屋を出ようとする私に、赤木先生が声をかけてくださる。

「またわからないことがあったら、連絡してください。」

「言うならば今しかない!」

インタビュアーでもない、ブロガーでもない、痔を抱える者としての私は、意を決して言葉を絞り出した。

「先生。。。 私、痔瘻が完治していないかもしれません。(シンガポール編参照) 痔管が残っているかも。」

赤木先生は、ゆっくりと頷くと、こう口を開いた。

「肛門エコーで日本の五本の指に入る名医がいます。肛門エコーなら再発可能性を見分けることができます。紹介しましょう。」

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柏の葉駅についた時は、すでに19時近くになっていて、空が暗闇に徐々に侵食されていた。

駅に立つ俺の右手には、赤木先生から紹介された新橋の名医の連絡先が握りしめられていた。

痔闘病記の最後の一ページが幕を開いた瞬間だった。

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