痔闘病記 シンガポール編

2-2: 喫緊のChina Town 痔分探しの旅

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◎前回までのあらすじ
完治したかとに思わせた俺のあな痔。灼熱のシンガポール、俺はその指先に、甦るマスカットを感じ取っていた。
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壮絶な大阪梅田での闘病を乗り越え、痔ろうを完治させた俺には、信じがたい指ざわりだった。
あてがった手を、上下左右にスライドさせてみる。

しかし、スライドさせればさせるほど、確信に変わっていく。
紛うこと無き、見事なマスカット。

悲しいかな、闘病を経たことで俺の肛門に関する知識は、外資系ブランドマネージャーの中では他に肩を並べるものがいないほどになっていた。 以前のエントリーで述べたが、痔には3つの種類がある。いぼ痔、きれ痔、あな痔の3つだ。(参照:第6話 梅田の屈辱)  そして、あな痔の完治手術を受けた俺は、俄かにはあな痔が再発するとは考えられなかった。
一度はキング師匠(あな痔)かと思ったが、やはり違うのではないか。

俺はチャイナタウンの屋台が立ち並ぶ雑踏の中で仁王立ちになり、考えた。
今回の症状は
①足を大きく上下させると(臀部に刺激をあたえると)痛い
②出血はしていない
③マスカット大の腫瘍がある

俺の脳内で、痔ナプスが結びつきあう。
額を汗が流れる。
俺は仮説にたどり着いた。
「今回は、いぼ痔だな。(たぶん外痔核)」
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いつの世も、人間は理性的に考えることにより、理性的でない結論にたどり着く生物だ。

俺はいまだ、チャイナタウンで立ちつくしている。

いぼ痔は、静脈がうっ血することで、腫瘍ができる肛門の病気である。
ということは、血流をよくすればいいに違いない。
それにはつぼを刺激するに限る。

「そうだ、マッサージ行こう」

俺は、チャイナタウンにそびえたつマッサージ店「Young Spa」へと足を向かわせた。
解説しよう。
Young Spaとは、俺が知り合いが疲れたというたびに、紹介する名店だ。Tanjon Pagarの鍼マッサージと双璧と呼ばれている。どこらへんが素晴らしいか、ポイントは3つある。
①足つぼ40分、全身30分というコンビネーションにもかかわらず40ドルという値段設定。2500円くらい。
②だいたい予約なしですぐ開始できる。仲良くなると、夜の11時ごろに行っても受け入れてくれる。
③店員がフレンドリー。仲良くなると、かりんとうみたいなお菓子を、ティッシュにくるんで持たせてくれる。

china_town

まだ問題が大きくないうちに処置をするのが一番。
いぼ痔なら、うっ血がひどくなければ手術しなくても治るはず。
ビジネスも同じ。問題をPreemptして、大きくならないために具体的なアクションを取ることが大切。

俺は受付の女性に、流暢な英語で注文する。
「フット フォーティー、ボディー サーティー、ヤー

3年間、シンガポールで揉まれたグローバル人材として文句なしの英語だ。

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その時、俺は気づいていなかったんだ。
危機は、今そこにあるってことに。

足つぼはなんなく終わった俺であるが、ベッドに横になりボディーの指圧が始まると異変を感じ始める。
いつも通りマックスな力でのマッサージを注文した俺だが、体を押されるたびに、予期せぬ場所が痛む。
肩甲骨を押し込むと、肛門が痛い。
腰椎を押し込むと、肛門が痛い。
大腿部を押し込むと、肛門が痛い。

どうやらうっ血はかなり進行していて、今は臀部に力を入れるだけでも痛みがでるほどになっていた。
俺は知っている。Young Spaは最後の締めで、おしりをぐりぐり押すことを。
マスカットが破裂することは必至。俺は後ろ髪をひかれながら、残りのマッサージをやめてもらい、金をトレイに置くと無言で立ち去って行った。

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今回もとんでもない土曜日になってしまった。
シンガポールでは、朝起きてはコンドミニアムのプールで泳ぎ、ディナーはマリーナベイサンズに通いつめ、ランチはウェンディーズのチリスープを一人飲み、朝食はコプティアムのビーフン(80セント!)を流し込む、悠々自適の生活を楽しんでいた俺に再び降りかかった災厄。

China Townを駅に向かって行くと、西日が正面から照りつける。
暗く沈んだ気持ちは、経済成長を背に明日がもっとよくなると信じてやまないシンガポーリアンとは対照的だ。
そもそも、自分がいぼ痔なのか、あな痔なのかもわからない。
さながら、痔分探しの旅。
俺はとぼとぼと歩く。

ふと右手に、漢方薬の看板が見えた。
何かを期待していたわけじゃない、だが俺は吸い込まれるように店に入っていった。

「すごい!!」
店は東洋医学、西洋医学の区分なく、様々な薬が陳列してある。
土曜の午後、客でごった返している。

「ここなら、ここなら、あるかも!!」
そのダイナミックな陳列、客の多さがトリガーとなり、完全にスイッチが入った俺は店を隈なくサーチし始めた。
腰痛、風邪、喉の痛み、肥満、若はげ、水虫、、、
近づいてきた、近づいてきた。
はやる気持ちを落ち着かせながら、視線をすべらせた先に、俺は発見した。

china_ji_drug

痔の薬、中国4000年のAuthenticityを感じさせるパッケージだった。

(次週に続く)
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●今週のQ&A
今週もブログに来てくださってありがとうございます。
読者の皆さんから、「月曜の朝一の通勤で読みたいから、それまでにアップロードしてください」「かと言って、日曜の夜にアップロードされたら読んでしまうからフライングは困ります」などのインプットいただいております。
基本的には月曜 日本時間の午前中にはアップロードする予定です。今週含め数週間、イレギュラーなイベントで遅れがちになって、通勤電車、月曜朝一のメールチェック前に読めなかったみなさん、すいませんでした。

では、今週のQ&Aです。
過去数週間にいただいてまだお返事できていない分をこちらに載せます。

☆第1部 12話 mihoさんの質問(コメントより) 「常に血が出ている状態で貧血とかにならないのでしょうか?」
結論から言うと、貧血にはなりません。
手術の後は断続的に出血はするものの、多い日用の生理用品で安心できるくらいなので50ccくらいでしょうか?
少ない日はパンティーライナーが汚れるくらいなので、量としては知れたものだと思います。
なので、貧血にはなりませんでした。 ただ、気持ちの問題で、大阪天満橋の万両(焼肉店)で、たくさんホルモンは摂取していました。

☆第1部 12話 アナゴさんの質問(コメントより) 「手術の方法についてですが切開開放術の効用について、きちんとご説明をされるべきだと思います。(特にこの術式で笑いを取りに行っている以上は、責任を持たれるべきと思料します)」
コメントありがとうございます。
●私は切開解放術に関しては本文でも書いている通り、成功率が高い術法であると認識しています。アナゴさんのように、完治され肛門機能が保存されている方が大多数と理解しています。
●私の場合は、あな痔の場所が、もう少し深度があったようです。医者からも肛門括約筋についてはリスクだけでなく、私の患部の深度の二点から、シートン法が採用になりました。
●ご指摘の通り、i) このブログは笑いを取りに行きつつ、ii)私が医学のバックグラウンドがないために、若干の語弊がでていることも確かかと思います。私自身コネクション、リソースがないので現時点ではアクションが取りづらいのですが、出版の際などには医学的な知識のある方のサポートいただければと思います。
●ただ少しステップバックすると、正しいことを知っている人のみ発言できる、という風潮に穴をあけたかったのです。自分の人生だから、自分の体だからこそ、素人でもいいから情報を集め、そして違う意見・正しい意見を受け入れて昇華していくほうがいいと信じているのです。メディアにおいて悪銭が良貨を駆逐する可能性もあると思いますが、今、肛門・痔の話を知らないし恥ずかしいから、情報がとても少ないこと(みんな新型インフルエンザとかはあんなに詳しいのに)が私の問題意識です。2ちゃんねるの痔スレッドは、高度に知識の高い患者たちが意見をシェアしあっていますが、逆にいうとフォーラムがそこにしかない、結果流通している痔の情報量が少なく、心配だけが高まっていっていることに危惧を覚えています。
●その意味で、違った視点でご指摘・ご意見いただき、このように私の考えを出すきっかけをいただいたアナゴさんに感謝しています。
長くなりました。ご理解いただけると幸いです。
mihoさん、アナゴさん、ほかの皆様、返事ができていなかったり遅れたり申し訳ないですが、時間をかけてすべてに返事していきたいと思います。

では、最後に先日の取材旅行の成果です。
第二次世界大戦と、その当時の雑誌について調べていたのですが、
見つけました。戦時中の雑誌の広告です!

hemoros

この広告の内容、70年を経た今も魅力的ですね。
よく見ると、「制痒、止血、鎮痛、消炎、収斂、殺菌、並びに肉芽新生の七大性能を高度に具有」と書いてあります。
いまだ圧倒的なヒサヤ大黒堂のAwarenessと並び、取材中感銘をうけたものでした。笑

では、今週もよい一週間を。

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4 Comments

  1. 最新更新分がなぜかブログ村のランキングの「最新記事」欄に反映されてませんよー
    ブログ村側のトラブルですかね・・・

  2. Pingの送信ができてないからでしょう。記事をアップした後にブログ村に反映されているか確認し、されてなければ手動で送信するようにした方がいいですね。痔ブログ、ブログ村ではまだまだ大人気とはいかないようですね。。。

  3. とおりすがりさん、
    ご指摘ありがとうございます。
    > 最新更新分がなぜかブログ村のランキングの「最新記事」欄に反映されてませんよー
    > ブログ村側のトラブルですかね・・・
    すぐに反映するためには自分で設定するんですかねぇ。ちょっとためしてみます。

  4. 多分。。。さん、
    ご指摘ありがとうございます。
    > Pingの送信ができてないからでしょう。記事をアップした後にブログ村に反映されているか確認し、されてなければ手動で送信するようにした方がいいですね。痔ブログ、ブログ村ではまだまだ大人気とはいかないようですね。。。
    ブログ村は、いいブログが多いですからね。壁高いですねぇ。
    手動含めて、一番やりやすい方法を考えますね。

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