「人生とは、生まれてから予定された以外のことを生きること」
イヌイットの言葉でそんな言葉があった。
外資系メーカーのマーケターとして順風満帆だった俺に訪れた、予定外の数々。その瑞々しい記録を残したいと思う。 記録を渋る私に最後の一押しをしてくれたSさん、Iくんの嫁に感謝を込めて。
2008年の6月、入社から4年目の俺は、ヘアケアのブランド刷新プロジェクトを担当していた。
「若いときから権限を」 就職活動の時に聞いた私の会社のキャッチフレーズに齟齬はない。ブランディング、投資戦略、広告戦略、、、全てをまとめて、私がプロジェクトリーダー。
全てを一新する新製品の発売を数ヶ月に控え、その日はマーケティングディレクターを含めて、ごく少人数の会議が行われていた。新製品の発売まで、できる限りの全てを尽くす。 ディテールにこそ神は宿る。
そんな部屋の雰囲気がいつもと違う。いや、違うのは部屋じゃねぇ。俺だ。何かが、何かが、おかしい。 俺は、長期のプロジェクトにも耐え抜いていた、自分の体の内なる声に耳を傾けてみた。
「おしりが、痛いよ」
俺は耳を疑った。 そんなわけはない。 俺は入社4年目の27歳、極めて健康、毎晩アブフレックスで鍛え上げた鋼の体だ。 何人も俺のプロジェクトを止められないはずだ。 もう一回念のため俺の体に聞いてみる。
「肛門が痛いよ。なにかができてるよ」
おしりが痛いだけだったらパーセプションマターだ。
だが、肛門になにかできているのはファクトフルネスに溢れている。
俺は混乱した。
世の中に怖いものなどない、そう信じて行きてきた外資系マーケターの俺。そんな俺が、肛門にリスクをキャリーしているなどと認められるだろうか。いや認められない。
俺はマーケティングディレクター茂山達との会議に、痛む肛門をパンツに刺激されながらいそいそと戻っていった。この日が、本当に怖いものは肛門の痛みだと痛感することになるDay1、に後日なるとは知る由しもなかった。
はじめまして。
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続きを楽しみにしております。
ミチエさん、
メッセージありがとうございます。
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